SIDE2「悪の種」


188 名前:背徳紳士[] 投稿日:2006/07/26(水) 23:18:26 ID:pFRkG6N+
サイド・オブ・オフレンジャー
 「悪の種」
 
雨に打たれている男が空を見上げて呟いた
 「茨城に、茨城に・・・・何が有ると言うのだ」

小さな町の小さな病院で子供と女性が息を引き取った
男「なぜもっと早く治療できなかったのですか!?」
医者「私たちも最善を尽くしましたし、しかし・・・」
男「しかし?何だと言うのです!?」
医者「二人は病院のERに来た時点で心肺停止していたのです・・」
看護師達が後ろで呟く
 「救急車が来るのに1時間もかかっていては助かるものもね・・」

191 名前:背徳紳士[] 投稿日:2006/07/26(水) 23:22:21 ID:pFRkG6N+
近所A「あそこの奥さんと子供こないだ交通事故で亡くなったんですって」
近所B「まぁ・・・お気の毒にねぇ」
近所A「でもこの辺りで事故にあっても救急車すぐに来ないからね」
近所B「そうね、住所言おうにも回りは田んぼだらけ、下手すりゃ携帯の電波も届かないし」
近所A・B「茨城って本当田舎よね〜〜」

192 名前:背徳紳士[] 投稿日:2006/07/26(水) 23:35:38 ID:pFRkG6N+
「茨城には道路があってもそれを導く信号が無い」
そのために年間に数千人の死傷者の出る事故が相次いでいた
その被害者の中に「彼」の妻子が含まれた
男「家に帰っても誰もいない、子供をこの両手に抱くことも、妻にキスすることも出来ない
  何のための行政だ・・・事故を無くすのでは無く、無造作に道路を作り・・・
  死人が増えてくばかり」
その後男の生活は荒んだ
  そんな彼が珍しく外に出てみた
男「なんだ・・・・?・・・」
彼が気付いた物は数ヶ月前まで野原だった場所に大きな商業施設が出来ていた
男「なんだ店が出来たのか・・・すぐ出来るもんだなこんなの・・・・・!!」
少し沈黙した後彼は気付いた
男「そうか道は出来ても利用者が無ければ信号や標識は立たない・・・」
そう・・彼の言うとおりだった
商業施設が出来て利用者が増え信号も標識もその施設付近だけ増えていたのだ

193 名前:背徳紳士[] 投稿日:2006/07/26(水) 23:44:12 ID:pFRkG6N+
男「町を開発して都市にしてしまえばライフライン・道路制御系は整備される。そうすれば・・・
  いや・・・・・そんなこと考えても今の私に何が出来る・・・・」
一人帰路に付いた彼に一通の手紙がポストに投げ込まれていた
{564}
男「こ・・これは?」
彼が手紙を読もうとすると電話が鳴った
「もしもし?」
男「はい?」
「君は力がほしくないかい?」
男「??は?何ですかいきなり?」
「まぁ外を御覧なさい」
男「そと?」
彼は外を覗きこんだ
すると一発の銃弾が彼のコメカミを右から左へ貫いた

197 名前:背徳紳士[] 投稿日:2006/07/27(木) 00:10:20 ID:w4BWhQBa


「目が覚めたかい?」
男「こ・・・ここは?」
「君に力と権力を与える場所さ」
男「・・・!!・・そう言えば私は・・・」
そう・・彼はコメカミを銃で撃ち抜かれていた
「おや?自分が撃たれたのが解ったのかい?あんな暗闇で・・・
 大した物だ、私が目をつけただけある・・フフ」
男「そうだ私は死んだんじゃ!!?」
「そう・・君は死んだ、だが今君はこうして生きている
 ゾンビでもない、君は生きているのだよ」
男「な、なぜ?」
「それはね君の力だよ・・・私はその力を出す手助けをしたまでさ」
彼は体の中から何かが迫ってくるように感じた
男「あぁぁぁぁぁ!!っぐ!!がぁ・・・」
「君の信念はよく解る・悔しさ・寂しさ・絶望
 怒り・執念・・・・その思いが君に力を与えたのさ」
男「はぁはぁはぁはぁ・・・今の私に何が出来る?それを教えろ」
「君は物分かりが良いようだ、君の力でこの茨城を変えないか?
 妻と子供を奪い発展を拒む茨城に、新たな秩序を与えてみないか?」
男「それは出来るのか?」
「君が拒まなければね・・・」
男「拒むものは何も無い!!理想のためなら!!」
「良くぞ言った!!はっはっはっはっは!!
 私は表向きになことは一切出来ないが君のその理想に援助しようじゃないか・・・・」
(数ヵ月後)
刑事A「そう言えば行方不明になったあの人どうなりました?」
刑事B「あぁ・・・あの妻子共に交通事故で亡くした人?」
刑事A「そうそう・・・名前は・・・えぇーっと・・・」
刑事B「確か・・・・キイロ ハルヤさん」

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